ポンプアクション式銃とは?構造・操作・ボルトアクションとの違いをわかりやすく解説

狩猟や射撃競技で使用される銃の中でも、ポンプアクション式は独特の操作感と実用性で根強い人気を誇ります。本記事では、ポンプアクション式銃の構造や操作方法、ボルトアクションとの違い、メリット・注意点までを初心者にもわかりやすく解説します。

初心者にもわかりやすく、銃選びをサポートする内容となっていますので、銃器の理解を深めたい方、これから銃を選ぶ方はぜひ参考にしてください。

ポンプアクション式の基本構造と仕組み

ポンプアクション式銃は、手動でスライドさせる操作によって排莢と装填を行う、シンプルかつ信頼性の高い構造を持つ銃器です。ここでは、ポンプアクション式の基本構造をわかりやすく解説します。

スライドアクションの動作原理

ポンプアクション式銃は、銃身下部にある「フォアエンド(先台)」を前後にスライドさせることで、薬莢の排出と次弾の装填を行います。この動作は「スライドアクション」と呼ばれ、手動で行うため機械的な信頼性が高いのが特徴です。

フォアエンド・ボルト・エレベーターの役割

  • フォアエンド:手で操作する部分。前後に動かすことで内部機構が連動。 
  • ボルト:薬室の開閉を担い、排莢・装填を行う。 
  • エレベーター:弾倉から持ち上げられた弾を薬室へ導く役割。 

チューブ型弾倉と装填の流れ

ポンプアクション式では、銃身下に配置された「チューブ型弾倉」に複数の弾を収納できます。装填は銃底部から行い、発射ごとにフォアエンドを操作することで次弾が自動的に薬室へ送られます。

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発射・装填の手順

ポンプアクション式銃の魅力は、手動操作による確実な排莢と装填サイクルにあります。発射から再装填までの流れをステップごとに確認し、ポンプアクション特有の操作感とその仕組みを詳しく見ていきましょう。

  1. 引き金を引いて発射
  2. フォアエンドを後退 → 薬莢を排出
  3. フォアエンドを前進 → 次弾を装填
  4. 再び発射可能な状態に

この一連の動作は、慣れることで素早く行えるようになりますが、初心者には練習が必要です。

ポンプアクションとボルトアクションの違い

銃器選びにおいて、ポンプアクション式とボルトアクション式は異なる特性を持ち、用途や操作感に大きな違いがあります。それぞれを比較しながらポイントを解説していきます。 

操作性・連射性・命中精度の比較

ポンプアクション式ボルトアクション式
操作性連続操作に慣れが必要単純で頑丈
連射性比較的高い低め(手動装填)
命中精度散弾向き精密射撃に強い

ポンプ式は連射性に優れ、動的な狩猟に向いています。一方、ボルト式は構造がシンプルで命中精度が高く、遠距離狙撃に適していると言われています。

狩猟対象に応じた使い分け

狩猟で使用する銃器は、対象となる動物のサイズ・動き・生息環境によって最適な種類が異なります。ポンプアクション式とボルトアクション式は、それぞれに得意分野があり、狩猟効率や安全性にも影響します。

狩猟対象推奨銃種適正理由
鳥類(カモ・キジなど)ポンプアクション式散弾対応・連射性が高く、飛翔中の獲物に有利
小型獣(ウサギ・キツネ)ポンプアクション式動きが速く、複数対応が必要な場面で操作性が活きる
中型獣(タヌキ・アナグマ)ポンプまたはボルト式距離や環境に応じて選択。近距離ならポンプ、精密狙撃ならボルトが有利
大型獣(シカ・イノシシ)ボルトアクション式高威力・高精度のライフル弾に対応。急所狙いの一撃が求められる
熊など危険獣ボルトアクション式精密射撃と信頼性が重要。安全性を最優先に選択
藪地・山岳地帯ポンプアクション式取り回しが良く、素早い対応が可能
草原・開けた地形ボルトアクション式遠距離射撃に適し、安定した命中精度を発揮

初心者に向いているのはどちらか?

初心者には、構造がシンプルで誤操作が少ないボルトアクション式が向いています。操作が直感的で、精密射撃にも適しており、安全性と学習効率の面で優れています。

一方、ポンプアクション式は連射性に優れ、散弾銃として鳥類などの狩猟に適していますが、操作に慣れるまで練習が必要です。まずは狩猟目的や免許区分に合わせて、扱いやすい銃種から始めるのが安心です。

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ポンプアクション式銃のメリットと注意点

ポンプアクション式銃は、手動操作による高い信頼性と、散弾・スラッグ弾など多様な弾薬への対応力で、狩猟や射撃競技において根強い人気を誇ります。ここでは、ポンプアクション式銃の強みとリスクを整理し、安全かつ効果的に活用するためのポイントを解説します。

耐久性・価格・弾薬対応力の強み

過酷な環境でも信頼できる構造

ポンプアクション式は、電気やガスなどの自動機構を持たない完全な手動式。可動部が少なく、泥・雨・寒冷地などの厳しい環境でも動作不良が起きにくいのが特徴です。特に、狩猟中に土や水が付着する場面でも、簡単な清掃で復旧できるため、現場での信頼性が高く評価されています。

自動銃よりも手頃で維持費も安価

構造がシンプルな分、製造コストが抑えられており、同クラスの自動式銃と比べて価格が安価です。さらに、故障リスクが低いため修理頻度も少なく、長期的な維持費も抑えられます。初心者や予算を抑えたい狩猟者にとって、導入しやすい選択肢となります。

散弾・スラッグ弾など幅広く対応

ポンプ式は、散弾・スラッグ弾・低圧弾など、さまざまな種類の弾薬に対応可能です。自動式では作動不良を起こすような低圧弾でも、ポンプ式なら確実に装填・発射できるため、狩猟対象や状況に応じた柔軟な弾薬選びが可能になります。特に、鳥類・小動物・中型獣など多様な獲物に対応する際に、この弾薬汎用性は大きな強みです。

精密射撃には不向き?銃先のブレと対策

ポンプアクション式銃は、連射性や汎用性に優れる一方で、精密射撃には不向きとされる場面があります。その主な理由は、操作時に生じる「銃先のブレ」と「構造的な遊び」による照準のズレです。

なぜブレが起きるのか?

ポンプアクション式では、フォアエンド(先台)を前後にスライドさせることで排莢と装填を行います。この可動部が銃身下にあるため、構造上わずかな“遊び”が生じやすく、特に発射直前の照準時に銃先が安定しづらくなることがあります。

また、スライド操作に力が入ることで、射手の姿勢やグリップが崩れやすく、結果として命中精度に影響を与えることもあります。これは、遠距離射撃や急所狙いの場面では致命的な差となる可能性があります。

実用的な対策

構えの安定化
射撃姿勢を低く構え、フォアエンドをしっかり支えることで、可動部の揺れを抑えることができます。特にベンチレストや伏射姿勢では、銃身の安定性が向上します。

フォアエンドの操作練習
スムーズで力みのないスライド操作を習得することで、照準時のブレを最小限に抑えることが可能です。反復練習によって、操作と照準の一体化を目指しましょう。

射撃距離の調整
精密射撃が求められる場面では、ポンプ式の使用距離を短めに設定することで、命中率を高めることができます。中距離以上では、ボルトアクション式との使い分けが有効です。

銃器の選定とカスタム
高品質なポンプ式銃や、フォアエンドの遊びが少ないモデルを選ぶことで、構造的なブレを軽減できます。必要に応じて、グリップやストックのカスタムも検討しましょう。

装弾数制限と法制度の確認ポイント

ポンプアクション式銃を安全かつ合法的に使用するためには、装弾数や銃身の仕様に関する法制度を正しく理解しておく必要があります。日本国内では銃刀法に基づき、銃の種類や用途に応じた厳格な規制が設けられています。

装弾数の制限

一般的に、狩猟用の散弾銃には「装弾数3発以内(薬室1発+弾倉2発)」という制限が課されており、これを超える場合は「制限装置(マガジンブロック)」の装着が義務付けられます。ポンプアクション式はチューブ型弾倉を持つため、装弾数の確認と制限措置の有無が重要です。

銃身長・全長の規定

銃身長が一定以下の銃器は、所持許可の対象外となる場合があります。特に、短銃身モデルやカスタム銃を検討する際は、銃身長(通常45cm以上)と全長(通常90cm以上)の基準を満たしているかを確認しましょう。

所持許可と講習制度

銃の所持には、公安委員会による許可が必要です。初心者は「猟銃等講習会(初心者講習)」を受講し、筆記試験・技能講習・適性検査を経て、所持許可申請を行う流れとなります。ポンプアクション式を選ぶ場合も、銃種の特性や用途を明確にしたうえで申請することが求められます。

狩猟免許との連動

銃の所持許可とは別に、狩猟を行うには「狩猟免許(第一種・第二種)」が必要です。ポンプアクション式は主に散弾銃として使用されるため、第二種免許との相性が良いですが、使用弾種や狩猟対象によっては第一種免許が必要になる場合もあります。

狩猟免許の取り方に関する記事はこちらからご覧ください。

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まとめ

ポンプアクション式銃は、手動操作による高い信頼性と、散弾・スラッグ弾など多様な弾薬への対応力を備えた実用的な銃器です。スライドアクションによる排莢・装填の仕組みは独特ながら、慣れれば素早い連射も可能で、狩猟や射撃競技において幅広く活躍します。

一方で、精密射撃には不向きな構造や、装弾数・銃身長に関する法制度の確認が必要など、使用にあたっての注意点も存在します。ボルトアクション式との違いを理解し、狩猟対象や自身のスキルレベルに応じた銃種選びを行うことが、安全かつ効果的な運用につながります。

初心者はまず構造と操作に慣れ、法令を遵守したうえで、目的に合った銃器を選ぶことが大切です。ポンプアクション式の魅力と特性を正しく理解し、責任ある銃器使用者としての第一歩を踏み出しましょう。

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