狩猟の相棒、ボルトアクションライフルを徹底解説!選び方からメンテナンスまで

狩猟の世界において、数ある銃器の中でも特に高い人気を誇るのがボルトアクションライフルです。その洗練されたフォルムと、射手の技量を最大限に引き出す性能は、多くのハンターを魅了してやみません。

しかし、「なぜボルトアクションなのか?」「どんな狩猟に向いているの?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

この記事では、ボルトアクションライフルが狩猟において選ばれる理由、そのメリット・デメリット、そして後悔しないための賢い選び方から、愛銃を長く使い続けるためのメンテナンス方法まで、旭川の銃砲店シューティングサプライが徹底的に解説します。

狩猟においてボルトアクションライフルが適している理由

ボルトアクションライフルが狩猟において特に適しているとされる理由は、その比類なき命中精度と揺るぎない信頼性に集約されます。

①ボルトアクションライフルの基本的な仕組みと他の銃器との違い

ボルトアクションライフルは、射手が手動で機関部(ボルト)を操作して排莢・給弾を行う仕組みの銃です。

具体的には、発射後にボルトハンドルを持ち上げて引き、使用済みの薬莢を排出し、マガジンから次弾を薬室へ装填するためにボルトを押し戻して下げるという一連の動作を、射手自身が行います。

この「手動操作」という点が、自動で次弾が装填されるセミオートライフルや、先台を前後させるポンプアクション式の散弾銃と大きく異なります。このシンプルな構造こそが、ボルトアクションライフルの最大の強みを生み出しているのです。

②精密性と威力

ボルトアクションライフルの構造は、他の銃器の機構と比べて非常にシンプルです。可動部品が少ないため、発射時の銃のブレが最小限に抑えられます。さらに、機関部(アクション)と銃身(バレル)が強固にねじ込まれており、一体感が非常に高いため、弾頭が銃身から離れるまでの安定性が抜群です。

この構造的な優位性により、ボルトアクションライフルは極めて高い命中精度を誇ります。

特に100メートル以上の遠距離射撃を行う、クマ、ヒグマ、イノシシ、シカなどの大物猟において、その真価を発揮します。

スナイパーがボルトアクション銃を好んで使用するのも、このシンプルな構造、高い命中率、そして信頼性が理由です。確実に獲物を仕留める「一発必中」の精神を重んじるハンターにとって、これほど頼りになる銃はないでしょう。

③信頼性と耐久性

シンプルな構造は、高い命中精度だけでなく、圧倒的な信頼性と耐久性ももたらします。部品点数が少ないため、故障しにくく、もし故障したとしても交換部品が少なく済むため、修理も比較的容易です。

この堅牢性は、特に極めて寒い地域での狩猟において大きなアドバンテージとなります。セミオート式銃が、雪の侵入による閉鎖不良や結露による凍結で動作不良を起こす可能性があるのに対し、ボルトアクション式は外部からの影響を受けにくく、過酷な環境下でも確実に作動するため、多くのハンターに選ばれています。

ボルトアクションライフルが不向きな狩猟シーンとは?デメリットも解説

ボルトアクションライフルには多くのメリットがありますが、その特性上、特定の狩猟シーンでは不向きとなる場合があります。これは主に、その連射性の低さに起因します。

①連射性の低さ

ボルトアクションライフルは、射撃ごとに手動で機関部(ボルト)を操作して排莢・給弾を行うため、連続した射撃には適しません。このため、初弾を外してしまい、獲物が逃げる際に素早く次弾を撃ち込むのは、射手の習熟度が求められる場面となります。

②突発的な近距離遭遇戦

特にイノシシの巻狩りのように、獲物が近い距離からいきなり飛び出してくる可能性のある場面では、初弾を外した際に次弾の装填に手間取ると、イノシシの逆襲に間に合わない危険が伴います。このような緊急性の高い状況では、連射が可能なセミオート式(自動銃)の方が安全だと考えられています。

③複数の獲物を同時に狙う、または素早い追射が求められる場面

ボルトアクションライフルは、構造上「一発入魂」になりがちな銃です。

例えば、カモの大群の飛来を迎え撃つ場合や、大物猟で獲物の群れに遭遇した場合など、短時間で複数の獲物を狙ったり、迅速に追撃したりする必要がある場面では、自動銃(セミオート式)の連射能力(散弾銃で最大3発、ライフル銃で最大5発の連射が可能)の方が有利です。

しかし、単独猟のように獲物が突然飛び込んでくる状況がほとんど考えられない場合や、銃声で獲物に逃げられるのを避けるために、よりシビアな狙撃技術が求められる狩猟の場面では、ボルトアクション式が好んで選ばれます。

狩猟用ボルトアクションライフルの選び方

狩猟用のボルトアクションライフルを選ぶ際は、ご自身の狩猟スタイルや目的に合わせて慎重に検討することが重要です。

①用途と対象猟獣の明確化

ボルトアクションライフルは、主にクマ、ヒグマ、イノシシ、シカなどの大物猟で、中〜遠距離射撃を行う場合にその性能を最大限に発揮します。

特に、獲物が突然飛び出してくる状況が考えにくい単独猟では、その精密性が大きな武器となります。

日本では、ライフル銃での狩猟はクマ、ヒグマ、イノシシ、シカのみに使用が許可されており、これ以外の狩猟鳥獣には使用できません。この点も考慮して選びましょう。

②銃身の種類と精度:スムースボア vs ハーフライフル

銃身の種類によって、性能とコストが大きく異なります。

スムースボア(滑腔銃身)

銃身内にライフリング(施条)がない散弾銃です。ボルトアクション式のスムースボア散弾銃も存在しますが、精度はハーフライフルに劣ります。しかし、スラッグ弾の弾代が比較的安価(1発200円〜250円程度)なため、練習量を確保しやすいというメリットがあります。

ハーフライフル(半条線銃身)

銃身の先端から半分にのみライフリングが施された散弾銃で、法律上は散弾銃として扱われます。専用のサボットスラグ弾(1発400円〜700円程度)を使用することで、高い命中精度と長い有効射程距離(150m〜200m)を実現します。ただし、通常の散弾やスラッグ弾も撃てますが、本来の性能は発揮できず、銃身の掃除が非常に大変になるため推奨されません。

令和7年3月1日施行の改正銃刀法による変更点 令和7年3月1日以降施行される改正銃刀法により、ハーフライフル銃はライフル銃の一種として位置づけられることになります。この改正により、ハーフライフル銃の所持許可申請には、原則として10年間以上の散弾銃所持歴が必要となります。 ただし、警察庁から発出された特例通達により、鳥獣被害防止の目的で特定の獣類の捕獲を必要とする方であれば、例外的に10年以上の散弾銃所持歴がなくても「特定ライフル銃」として所持が認められる特例的運用が導入されます。 

猟場の100m程度の射撃であれば、「銃の性能よりも射手の腕前が影響する」という見解もあります。弾代を抑えて練習量を確保することが、上達への近道になる場合もあるでしょう。

③弾代とハンドロードの検討

ハーフライフルで使用するサボット弾は高価であるため、同じ予算で練習できる量が減ってしまう可能性があります。ここで検討したいのがハンドロード(手詰め装弾)です。

ハンドロードは、火薬や弾頭などの部品を購入し、ご自身で弾を製造する作業です。これにより、弾代を抑えることができるだけでなく、自身の銃に最適な弾を作成し、命中精度をさらに向上させるという大きなメリットがあります。

特にボルトアクションライフルでは、ハンドロードによって細かく調整された弾が、その精密性を最大限に引き出します。

ただし、ハンドロードには、専用工具類の初期投資として総額約10万円程度かかること、作業が手間がかかること、火薬のグラム単位での厳格な帳簿付けが必要なこと、そして火薬量の間違いなどが銃の故障や負傷につながる危険性があるため、完全自己責任で行う必要がある、というデメリットも理解しておく必要があります。

④個人の好みと愛着

最終的に、どのようなボルトアクションライフルを選ぶかは、「好きである」という気持ちが最も重要です。自分が気に入った銃であれば、練習にも身が入り、手入れも丁寧に行うようになります。愛着が湧くことで、その銃のポテンシャルを最大限に引き出し、長く大切に使い続けることができるでしょう。

シューティングサプライでは、お客様の狩猟スタイルやご希望に合わせて、最適なボルトアクションライフル選びをサポートしています。当社の豊富なラインナップの中から、あなたにとって最高の相棒を見つけるお手伝いをさせていただきます。

安全第一!ボルトアクションライフルのメンテナンス

愛銃であるボルトアクションライフルを長く安全に使い続けるためには、適切なメンテナンスが不可欠です。シンプルな構造とはいえ、日頃の手入れを怠ると、銃の性能低下や思わぬ故障につながることがあります。

①銃身内部の徹底的な清掃

ボルトアクションライフルの心臓部ともいえる銃身は、特に念入りな手入れが必要です。発射後には、銃身内部にススや火薬カス、そして弾頭の銅が擦れて付着するカッパーファウリング(銅の汚れ)が残ります。

これらの汚れは命中精度を低下させる原因となるため、専用のクリーニングロッド、ブラシ、パッチを用いてしっかりと除去しましょう。特にカッパーファウリングはブラシで擦るだけでは落ちにくいため、上動剤(銅溶解剤)を使って化学的に溶かし落とすことが重要です。

②機関部(ボルト)の手入れ

ボルトアクションの要であるボルトは、常にスムーズに動作するよう清掃と注油が必要です。ススや異物の付着は動作不良の原因となるため、分解して丁寧に汚れを取り除き、薄くガンオイルを塗布して保護します。特に、ボルトの作動面やロッキングラグ(閉鎖部分)は念入りに手入れしましょう。

③外部の保護

銃の金属部分は、手で触れたり、雨や雪などの外部環境にさらされたりすることで錆びる可能性があります。使用後は必ずガンオイルを染み込ませたウエスで銃全体を丁寧に拭き、薄い油膜を作って保護しましょう。これにより、錆を防ぎ、銃を長持ちさせることができます。特に、猟から帰宅した際は、汚れを拭き取った後、必ずオイルを塗布してください。

④ストックのケア

木製ストックの場合は、乾燥によるひび割れや腐食を防ぐために、定期的にストック専用オイルを塗布して保護します。シンセティックストック(樹脂製)の場合は、固く絞ったタオルで汚れを拭き取るだけで十分です。

⑤定期的な点検

定期的に銃全体を点検し、ネジの緩み、部品の摩耗、異常なガタつきなどがないか確認しましょう。もし異常が見られた場合は、専門の銃砲店に相談してください。

▶ライフルのメンテナンス:

▶散弾銃のメンテナンス:

まとめ

ボルトアクションライフルは、その比類なき命中精度、シンプルな構造による高い信頼性、そして堅牢性から、特に大物猟における中〜遠距離射撃において最適な選択肢となりえます。一発必中の精神を重んじるハンターにとって、これほど頼りになる相棒は他にないでしょう。

しかし、その特性上、連射性には欠けるため、突発的な近距離での遭遇戦や複数の獲物を狙う場面では、そのデメリットも理解しておく必要があります。初めてライフル銃を持つ方で、ボルトアクション式のハーフライフルを検討されている場合は、弾代と練習量のバランス、そしてハンドロードの可能性も視野に入れると良いでしょう。

シューティングサプライでは、お客様の狩猟スタイル、経験、そして予算に合わせた最適なボルトアクションライフルのご提案から、適切なメンテナンス方法、さらにはハンドロードに関するアドバイスまで、専門家がお客様のシューティングライフをトータルでサポートいたします。どんな些細な疑問でも、お気軽にご相談ください。あなたの狩猟を最高の体験にするためのお手伝いをさせていただきます。

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