銅弾頭の威力は鉛に劣らない!銅弾頭の弾道特性と使用上の注意点

銅弾頭の威力は鉛に劣らない!銅弾頭の弾道特性と使用上の注意点

「銅弾は鉛弾に比べて威力が低い」「遠距離では当たらない」――。ハンターの間で長く語られてきたこうした定説を、耳にしたことはありませんか?

しかし、北海道での規制や全国的な非鉛化への流れが進む現代において、銅弾への正しい理解は、日本の狩猟文化と生態系を守るための必須知識です。実は、最新の弾道工学に基づいた銅弾は、鉛弾にはない圧倒的な貫通力と安定した弾道特性を秘めています。

この記事では、銅弾が持つ物理的な特性から、銃との相性を左右するツイストレートの重要性、使用上の注意点まで、ハンターが知っておくべき真実を徹底解説します。

なぜ今、銅弾頭が不可欠なのか

なぜ今、銅弾頭が不可欠なのか

北海道の鉛弾規制

北海道における鉛弾の使用は法的に禁止されているのと同時に、日本の狩猟文化を守るための必須事項です。

理由は、鉛中毒による希少な猛禽類の死亡を食い止めるためです。環境省や北海道の公表資料によると、放置されたシカの残滓(ざんし)に含まれる鉛弾の破片を、オオワシやオジロワシが摂取することで深刻な鉛中毒を引き起こしている実態が明らかになっています。

北海道では2004年から大型獣の狩猟において鉛弾の使用が段階的に禁止され、現在は所持すること自体も厳しく制限されています。この流れは全国的な広がりを見せており、環境省は2024年度から全国の国有林で鉛弾の使用を原則禁止する方針を固めています。

生態系保護とジビエの安全性

銅弾頭を選択することは、生態系の保護だけでなく、私たちが口にする「ジビエ」の安全性を確保する上でも極めて重要です。

鉛弾は標的に着弾した際、体内で細かく飛散する性質があります。肉の中に目に見えないレベルの微細な鉛破片が残留するリスクがあり、これを人間や狩猟犬が摂取することは健康上の害となります。

一方、銅弾頭であれば破片が肉の中に飛び散ることがほとんどありません。安全なジビエを流通・消費させるためには、非毒性である銅弾頭の使用が最も確実な解決策となります。

銅弾頭は鉛よりも威力が低いという誤解

銅弾頭は鉛よりも威力が低いという誤解

画像引用:※190gr在庫あり、200gr次回入荷予定あり カッティングエッジブレット MTH 30Cal

【物理的根拠1】残存重量の差

「銅弾は軽いから威力がない」というのは大きな誤解です。むしろ、着弾後の「残存重量」においては銅弾頭の方が圧倒的に優れています。

鉛弾は着弾時の衝撃で砕けて重量を失うのに対して、銅弾頭は、着弾後も重量を維持したまま標的の深部まで到達します。

弾頭がバラバラにならずに運動エネルギーを標的の深部破壊に集中させることができるので、実際のダメージは銅弾頭の方が勝ると言えます。

【物理的根拠2】衝撃波の伝わり方

銅弾頭は、独特の拡張形状によって効率的な衝撃を発生させます。

銅弾頭の多くは、先端に空洞がある「ホローポイント」構造を備えています。着弾の瞬間、先端が花びらのように規則正しく開くよう設計されていて、開いた弾丸が回転しながら進むことで、周囲の組織に強烈な衝撃波を伝導させます。

鉛弾が不規則に潰れるのに対し、銅弾は計算された一定の形状に開くのが特徴で、安定してバイタルゾーンへ確実にダメージを与えます。

【物理的根拠3】「貫通力」か「足止め力」か

銅弾頭は高い貫通力を持ちながら、設計によって十分な足止め力を発揮します。

銅弾頭の高い貫通力は、骨や厚い皮を貫き、確実に臓器を破壊します。弾が貫通すれば出口傷から失血するので、獲物がその場に倒れるか、追跡を容易にする効果もあります。

初速の重要性

銅弾頭の性能を最大限に引き出すための鍵は「初速」にあります。

銅は鉛よりも硬い素材であるため、着弾時に弾頭を開かせるためには一定以上の衝撃速度が必要です。一般的に、銅弾は鉛弾よりも高い初速で運用することが推奨されます。初速が高いほど、遠距離でも弾頭が確実に拡張するエネルギーを保持できるからです。

弾道曲線の違い

初速が高くなる傾向にある銅弾頭は弾道曲線がフラットになるので、遠距離射撃時の落差を補正しやすくなります。

例えば、100メートルでゼロインした場合、200メートル、300メートル先でのドロップ量は鉛弾よりも少なくなる傾向があります。「銅弾は飛ばない」というのは過去の話であり、適切な装弾設定を行えば、むしろその弾道特性は現代のハンティングに最適化されていると言えるでしょう。

銅弾頭の選び方と銃身との相性

銅弾頭の選び方と銃身との相性

画像引用:バーンズ製 Copper Bullets銅弾頭 各種

銃身のツイストレートと弾頭重量の適切な組み合わせ

銅弾頭選びで最も注意すべきなのは、重量ではなく弾頭の長さと、ライフリングとの相性です。

弾丸を安定して飛ばすためには、長い弾丸ほど速い回転を必要とします。もし、ツイストレートに対して長すぎる銅弾を選んでしまうと、飛行中に弾丸が安定せず、命中精度が著しく低下する原因となります。

銃のツイストレートを把握し、メーカーが推奨する重量範囲を選びましょう。

信頼の2大ブランド:バーンズ、ホナディ

市場には多くの銅弾頭がありますが、まず検討すべきは「バーンズ(Barnes)」と「ホナディ(Hornady)」の2社です。

  • バーンズ(Barnes) 銅弾頭のパイオニアであり、看板製品の「TSX」や「TTSX」は世界中のハンターから絶大な信頼を寄せられています。
  • ホナディ(Hornady) 「GMX」や最新の「CX」シリーズを展開しています。ホナディの強みは、モノリシック(単一素材)合金を使用し、高いBC値を実現している点にあります。特にCX弾頭は、超高温でも変形しにくい「Heat Shieldチップ」を採用しており、長距離射撃においても極めて高い精度を誇ります。

これら一流メーカーの製品は、日本でも多くの実績を上げています。

銅弾頭の使用時は除銅剤でメンテナンスを

銅弾頭の使用時は徐銅剤でメンテナンスを

銅弾頭を使用する場合、銃身を除銅剤で定期的にメンテナンスしておきましょう。

銅は銃身内のライフリングに銅が付着しやすい特性があります。これが蓄積すると、銃身の寿命を縮めるだけでなく、命中精度が落ちてしまうため、なるべく徐銅剤を使用してください。メンテナンスの詳しい手順は下記の動画を参考にしてみてください。

銅弾は跳弾しやすいと言われる理由と安全対策

銅弾は跳弾しやすいと言われる理由と安全対策

銅弾頭は鉛弾に比べて変形しにくいため、硬い岩場や凍土、水面に鋭角に着弾した際に跳弾するリスクが高いと言われています。

鉛は着弾時に潰れてエネルギーを消費しますが、銅は形状を維持しようとする力が強いため、跳ね返りやすいのです。これを防ぐために徹底した「バックストップ」の安全対策が必要です。獲物の背後に岩場がないか、弾が抜けた先に何があるかを、慎重に判断してください。

まとめ

銅弾頭への移行は、単なる規制への対応ではなく、より確実な獲物の回収と安全な食肉の確保を両立させるための進化です。

この記事で紹介した銅弾の物理特性と注意点を整理すると、以下の3点です。

  • 「残存重量」がもたらす貫通力
  • 初速を重視し、銃身のツイストレートに合った弾頭を選ぶこと
  • メンテナンスと、跳弾への細心の注意を怠らないこと

バーンズやホナディといったブランドの最新弾頭が、かつての「銅弾は弱い・飛ばない」という定説を過去のものにしました。法規を遵守することはもちろん、銅弾頭の性質を正しく理解して使いこなすことは、ハンターに課せられた義務と言えます。

持続可能な狩猟のため、北海道では非鉛弾の使用を徹底して、豊かな自然を次世代へと繋げていきましょう。

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