
銃弾に使われる「鉛弾」の基本
銃弾に鉛が使われる主な理由は、その価格の安さ、加工のしやすさ、そして何よりも重い比重にあります。
鉛は比重が重いため、ゴルフボールがピンポン球よりも遠くへ飛ぶように、銃弾に必要な「質量による慣性力」を効果的に生み出します。これにより、十分な飛距離と破壊力を維持できるのです。また、融点が低く加工が容易なため、古くから弾頭の素材として適していました。
さらに、鉛の柔らかさも重要です。弾薬メーカーは、着弾時に弾頭がマッシュルーミング(マッシュルーム状に変形)するように設計することがあり、これによりターゲットに大きなダメージを与えられます。柔らかく変形しやすい鉛は、この効果を得るのに最適な素材なのです。
鉛弾と銅弾の主な違いについて

鉛弾と銅弾の主な違いは、環境への影響、弾の物理的特性とそれに伴う用途、そして弾道性能にあります。
鉛弾は、鳥類などが摂取した場合に鉛中毒を引き起こすリスクがあるため、特に北海道のような地域では規制の対象となっています。一方、銅弾は鉛を含まないため、この鉛中毒のリスクが低いという点が大きな違いです。
また、弾の特性としては、鉛弾は比重が大きく、遠距離での射撃に適しており、弾速が落ちた状態でもある程度の威力を保ちやすいとされていますが、近距離で命中すると獲物の肉を大きく損傷させる可能性があります。
対照的に、銅弾は近距離での使用を想定して設計されることが多く、命中時に砕け散ることなく対象に効果的なエネルギー伝達が可能です。
さらに、弾道性能に関しては、一般的に鉛弾の方が比重が高いために弾道係数(空気抵抗の受けにくさ)が良いとされ、これが長距離における弾道に影響を与えることがあります。
このように、鉛弾と銅弾はそれぞれ異なる特性を持つため、狩猟の目的、対象、距離、そして地域の規制などを考慮して使い分けられています。
鉛弾の問題点と使用禁止について
猟銃における鉛弾の使用禁止は、深刻な環境問題と生態系への影響が主な理由です。
射撃場では、使用された鉛弾から溶出した鉛が表流水や地下水を汚染し、公共用水域や周辺の飲用井戸に影響を及ぼす可能性があります。また、鉛弾そのものが場外に拡散し、土壌汚染を引き起こすことも懸念されています。
さらに深刻なのが、野生鳥獣の鉛中毒です。日本では1990年代から北海道でオオワシをはじめとする猛禽類や水鳥の鉛中毒死が200羽以上確認されており、その原因は狩猟に使われる鉛ライフル弾や鉛散弾にあるとされています。
シカなどの狩猟残滓や被弾した動物の肉片に含まれる鉛を猛禽類が誤食したり、水鳥が消化を助けるために鉛散弾を小石と誤って摂取したりすることで中毒が発生します。
このような状況を受け、2021年9月には政府が、2025年度からの全国的な鉛弾の段階的規制と、2030年度までの野生鳥類の鉛中毒ゼロを目指す方針を表明しました。
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