
ライフル銃について調べていくと、「オート」や「セミオート」といった用語を目にすることがあります。
これらは射撃機構の異なる銃器を指し、それぞれに特性があります。
日本では、フルオートライフルの民間人による所持は原則的に許可されていません。 一方、セミオートマチック式のライフル銃や散弾銃は、厳格な法的要件と審査をクリアすれば、狩猟や標的射撃の目的で所持が可能です。
この記事では、ライフル銃の「オートマチック(フルオートマチック)」と「セミオートマチック」の違いを明確にし、それぞれの特徴、代表的な銃器、そして最適な活用シーンについて詳しく解説します。
ライフルの「オート」と「セミオート」の違いって何?
ライフル銃における「オート」と「セミオート」は、発射機構の種類を示す言葉です。これらの違いを理解することが、銃器の特性を把握する第一歩となります。
①「オート(フルオートマチック)」の仕組み
「オートマチック」、あるいは「フルオートマチック」とは、引き金を引いている間は、弾がなくなるまで連続して自動的に発射され続ける銃器を指します。
射撃時の反動やガス圧などのエネルギーを利用して、弾丸の発射、薬莢の排出、次弾の装填、そして再び撃発準備までの一連の動作が自動で行われます。
これにより、理論上は毎分数千発もの速射が可能です。この機能を持つ銃器は、主に軍用機関銃や一部の特殊部部隊用アサルトライフルに見られます。日本では、個人の所有は事実上許可されていません。
フルオートマチックライフルは、その圧倒的な火力と速射性から、特定の軍事目的においては大きなメリットを持ちます。
▶フルオートマチックライフルの特徴
- 圧倒的な火力:引き金を引いている間、連続して弾丸を発射し続けるため、短時間で広範囲に大量の弾を投射できます。
- 制圧射撃能力:敵を制圧し、動きを封じるような局面で非常に有効です。
②「セミオート(セミオートマチック)」の仕組み
「セミオートマチック」とは、引き金を一度引くと一発の弾が発射され、その後の薬莢排出と次弾の装填は自動で行われるものの、次の弾を発射するためには再度引き金を引く必要がある銃器を指します。
つまり、「一引き一発」が原則です。フルオートマチックと同様に、射撃時のエネルギーを利用して自動で次弾が装填されるため、手動操作を行う必要がありません。これにより、ボルトアクションライフルよりも素早い連射が可能となります。狩猟用ライフルや散弾銃、また一部の拳銃にもこの機構が広く採用されています。
▶セミオートライフルの特徴
- 高い連射性能:手動での再装填が不要なため、ボルトアクションライフルに比べて素早い連射が可能です。特に、複数の獲物を連続して狙う狩猟や、競技での素早いターゲット切り替えに有利です。
- 継続的な照準:射撃後に手動操作が不要なため、照準を大きく外すことなく次弾を発射準備できます。
- 反動の軽減:自動装填の機構が反動エネルギーの一部を吸収するため、ボルトアクションと比較して体感反動が少ないと感じる場合があります。
セミオートライフルとボルトアクションの違いは?
ところで「一引き一発」ならば、セミオートライフルとボルトアクションライフルの違いとは何なのでしょうか。調べていくと必ず気になるはず。以下ではその違いについて触れておきます。
①ボルトアクションライフルの特性
ボルトアクションライフルは、射手が手動でボルト(遊底)を操作することで、使用済みの薬莢を排出し、マガジンから次弾をチャンバーに装填する仕組みを持つ銃です。一発撃つごとにボルトを操作する必要があります。
メリット
- 高い命中精度: 構造がシンプルで、可動部品が少なくかつ、機関部と銃身が堅牢に固定されている、銃身と弾薬の組み合わせによっては非常に高い命中精度を発揮します。精密射撃や長距離射撃の分野で絶大な信頼を得ています。
- 堅牢性と信頼性: シンプルな構造ゆえに故障しにくく、悪条件下の環境でも高い信頼性を誇ります。メンテナンスも比較的容易です。
- 幅広い弾薬への対応力: 構造がシンプルであるため、様々な口径の弾薬に対応しやすいという特徴があります。
- 価格: 同等の品質であれば、セミオートライフルよりも安価に入手できる場合があります。
デメリット
- 連射性能の低さ: 一発ごとに手動でボルトを操作する必要があるため、セミオートライフルに比べて連射速度は劣ります。複数の獲物を相手にする場合や、素早い追撃が必要な場面では不利になることがあります。
- 照準の中断: ボルト操作の際に銃を肩から外し、照準が一時的に中断されるため、次弾を素早く正確に撃ち込むには慣れと技術が必要です。
- 体感反動の大きさ: 自動装填による反動吸収がないため、セミオートに比べて射手が感じる反動は大きくなる傾向があります。
②セミオートとボルトアクションの違いまとめ選択のポイント
セミオートライフル | ボルトアクションライフル | |
---|---|---|
連射性 | 高い(引き金ごとに発射) | 低い(手動操作) |
精度 | 高精度 | 非常に高い |
構造 | 複雑 | シンプル |
価格 | やや高価 | 比較的安価 |
体感反動 | 少ない | 大きい |
信頼性 | 高い(複雑な分メンテナンスも重要) | 非常に高い(堅牢) |
セミオートライフルは、素早い連射が必要な狩猟(例:群れを狙う、外した場合の追撃)や、特定の競技射撃に適しています。
一方、ボルトアクションライフルは、究極の命中精度を追求する精密射撃や、長距離射撃、そして信頼性を最優先する狩猟において、その真価を発揮します。
どちらのライフルが最適かは、個人の用途、予算、そして何よりも「何を重視するか」によって異なります。
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