
狩猟免許を取得したら、どのような動物を狩猟できるのか疑問に感じていませんか。日本において狩猟が許可されている野生動物は、法律によって厳格に定められています。
本記事では環境省の最新情報に基づき、狩猟鳥獣全46種の一覧やそれぞれの特徴を分かりやすくまとめました。安全な狩猟ライフを始めるための基礎知識としてご活用ください。
狩猟鳥獣とは?

狩猟鳥獣がどのような基準で選ばれているかご存知でしょうか。ここでは狩猟対象となる動物の定義や、日本で許可されている種類について詳しく見ていきます。
狩猟鳥獣の定義と指定の基準
環境省の「鳥獣保護管理法」によると、狩猟鳥獣とは希少鳥獣以外の鳥獣であり、特定の基準を満たしたものが指定されています。
指定の基準としては、生息数が十分に多く絶滅の恐れがないことや、農林水産業などに対して被害を及ぼしていることが挙げられます。さらに、肉や毛皮など資源としての価値が高いことも考慮されるポイントです。
たとえば、ニホンジカやイノシシは農作物への被害が深刻となっています。狩猟によって個体数を管理する必要があるため、対象に選定されているというわけです。
日本で狩猟できるのは「鳥類26種」「獣類20種」のみ
現在、日本で狩猟が許可されている野生動物は全部で46種類に限られています。内訳を見ると、鳥類が26種、哺乳類などの獣類が20種です。
これ以外の動物を勝手に捕獲することは、法律で厳しく禁止されています。また、指定されている動物であっても、誰でも自由に狩猟して良いわけではありません。
狩猟を行うためには、都道府県知事が実施する狩猟免許試験に合格する必要があります。免許を取得した上で狩猟者登録を行い、合法的に狩猟を楽しみましょう。
参考:福井県猟友会狩猟鳥獣一覧
【鳥類】狩猟鳥獣の一覧(26種) 

空を飛ぶ鳥類の中で、狩猟の対象となるのはどのような種類なのでしょうか。ここからは、狩猟鳥獣に指定されている鳥類26種について、カテゴリー別にご紹介します。
カモ類(カルガモ、マガモなど)の特徴と見分け方
カモ類は日本の狩猟において非常に人気が高く、以下の11種類が指定されています。
| 分類 | 対象となる種類 |
| 陸ガモ類 | マガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ |
| 海ガモ類 | ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモ |
水辺に生息するこれらの鳥は、種類によって羽の色や模様、くちばしの形が大きく異なります。たとえばマガモのオスは頭部が鮮やかな緑色をしているため、比較的見分けやすい存在です。
一方で、非狩猟鳥獣であるオシドリのメスなどは、狩猟対象のカモと見た目が似ているため注意しなければなりません。狩猟する際は双眼鏡などを活用して、確実に判別することが求められます。
参考:大日本猟友会狩猟鳥獣一覧
キジ・ヤマドリ類(日本の代表的な狩猟鳥)
キジやヤマドリの仲間は、日本の代表的な狩猟鳥として古くから親しまれてきました。鳥獣保護管理法に基づく対象は、すべてキジ科に分類される以下の4種類となります。
| 分類 | 対象となる種類 | 備考 |
| キジ科 | キジ(コウライキジ含む) | 日本の国鳥として有名 |
| キジ科 | コジュケイ | |
| キジ科 | ヤマドリ | コシジロヤマドリという亜種は捕獲禁止 |
| キジ科 | エゾライチョウ | 本州のライチョウは特別天然記念物で捕獲禁止 |
とくにキジのオスは顔の赤い模様と美しい羽が特徴的です。ヤマドリは深い森林に生息しており、非常に警戒心が強いため狩猟の難易度が高い鳥として知られています。
同じ科の鳥であっても、希少性の高いものは保護鳥獣に指定されています。生息地域や特徴を正しく理解し、誤って捕獲しないように注意しましょう。
参考:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令案
その他の鳥類(カラス、ヒヨドリ、スズメなど)
カモやキジ以外にも、私たちの身近に生息する以下の11種類が狩猟鳥獣に指定されています。
| 分類 | 対象となる種類 |
| カラス科 | ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス |
| サギ・ウ科 | カワウ |
| シギ・クイナ科 | ヤマシギ、タシギ |
| スズメ・その他 | スズメ、ニュウナイスズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、キジバト |
これらの鳥類は農作物を食い荒らすなどして人間に被害を与えることが多いため、有害鳥獣としての側面も持っています。ヒヨドリが果樹園の果実を食べてしまう被害などが代表的です。
スズメやキジバトなどは比較的身近な場所で見かけますが、人家の近くや発砲禁止区域に該当しないか必ず確認しましょう。常に周囲の安全確保を徹底することが不可欠となります。
参考:バードリサーチニュース全国鳥類繁殖分布調査の結果でゴイサギとバンが狩猟鳥獣から解除に
【獣類】狩猟鳥獣の一覧(20種)

山や森に生息する哺乳類の中で、狩猟が許可されているのはどのような動物でしょうか。続いては、獣類の狩猟鳥獣20種類について解説していきます。
大型獣(イノシシ、ニホンジカ、ヒグマ、ツキノワグマなど)
大型の獣類は「大物猟」と呼ばれ、多くの狩猟者が憧れるターゲットです。狩猟鳥獣に指定されている大型獣は以下の4種類となります。
| 種類 | 生息域の目安 | 特徴 |
| イノシシ | 本州、四国、九州など | 農作物被害が多く、ジビエとして人気が高い動物 |
| ニホンジカ | 日本全国の森林 | 繁殖力が高く、大物猟の代表的なターゲット |
| ツキノワグマ | 本州、四国の山地 | 胸の三日月模様が特徴で、非常に力が強い |
| ヒグマ | 北海道のみ | 日本最大の陸生哺乳類で、狩猟には熟練の技術が必要 |
これらは農林業への被害が極めて大きく、個体数調整の観点からも狩猟が奨励されている動物です。とくにイノシシやニホンジカは全国的に分布しており、ジビエ料理としても高い人気を誇ります。
ヒグマやツキノワグマは強力な力を持っており、狩猟には高度な技術と経験が求められます。危険を伴うため、複数人でチームを組む「巻き狩り」という手法が一般的です。
中・小型獣(アナグマ、タヌキ、キツネ、ハクビシンなど)
中型から小型の獣類も、毛皮や食肉などの目的で狩猟対象とされています。指定されているのは以下の14種類です。
| 分類 | 対象となる種類 | 捕獲時の注意点 |
| イタチ科 | アナグマ、テン、イタチ(オス)、チョウセンイタチ(シベリアイタチ・オス)、ミンク | テンの一部亜種やイタチのメスは捕獲禁止 |
| ネコ・イヌ科 | キツネ、タヌキ、ノイヌ、ノネコ | ノイヌ・ノネコは野良犬・野良猫とは法的に区別される |
| ウサギ科 | ノウサギ、ユキウサギ | 雪山での狩猟対象として古くから親しまれている |
| リス科 | シマリス、タイワンリス | 樹上に生息し、農作物や樹皮への被害を及ぼす |
| ジャコウネコ科 | ハクビシン | 農作物被害が多く、住宅の屋根裏に住み着くこともある |
アナグマは脂の乗った肉が非常に美味とされており、ジビエ愛好家の間で重宝されています。また、ノウサギやユキウサギは雪山での「ウサギ猟」として親しまれてきました。
動物保護の観点から、一部例外が設けられている点にも留意してください。イタチ類はメスの捕獲が禁止されているため、確実な雌雄の判別知識が必須となります。
外来生物と狩猟鳥獣(アライグマ、ヌートリアなど)
もともと日本には生息していなかった外来生物の中にも、狩猟鳥獣に指定されている動物がいます。代表的なのが以下の2種類です。
| 種類 | 原産地 | 問題となっている被害 |
| アライグマ | 北米 | 繁殖力が非常に高く、在来種の捕食や農作物被害が深刻 |
| ヌートリア | 南米 | 水辺に生息し、堤防を破壊したり農作物を食い荒らしたりする |
これらの動物はペットとして持ち込まれたり、毛皮目的で輸入されたりしたものが野生化しました。日本の環境で異常繁殖し、在来種の生態系を破壊するなどの被害を与えています。
そのため、環境省はこれらを特定外来生物に指定するとともに、狩猟鳥獣として捕獲を認めています。わな猟の対象となることも多く、地域の環境保全において重要な役割を担っているのです。
狩猟鳥獣と間違えやすい「非狩猟鳥獣」に注意

狩猟を行う上で最も恐ろしいのが、獲ってはいけない動物を誤って撃ってしまうことです。ここでは、狩猟鳥獣と見間違えやすい保護鳥獣について確認していきましょう。
誤射しやすい保護鳥獣(メスジカとカモシカ、カラスの種類の違いなど)
自然界には、狩猟鳥獣と見た目がそっくりな「非狩猟鳥獣」が数多く存在します。狩猟では、対象動物を確実に見極める能力が非常に重要です。
たとえば、ニホンジカのメスと国の特別天然記念物であるニホンカモシカは、シルエットが似ているため誤射のリスクがあります。カモシカはウシ科の動物であり、絶対に捕獲してはいけません。
カラスの中でも、保護鳥獣であるコクマルガラスなどを誤って撃たないようにする必要があります。獲物を確認する手順は以下の通りです。
- 対象の動物や鳥を発見する
- 双眼鏡などの道具を使い、羽の色や体の特徴をじっくり観察する
- 狩猟鳥獣であることが100%確信できた場合のみ、安全を確認して捕獲行動に移る
少しでも迷いや不安がある場合は、引き金を引かないという選択が鉄則となります。
違法捕獲(鳥獣保護管理法違反)のペナルティ
もし非狩猟鳥獣を誤って捕獲してしまった場合、法律により厳しく罰せられます。許可なく野生鳥獣を捕獲した者には、重いペナルティが科せられると定められています。
環境省の規定によれば、違法捕獲を行った場合は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が適用される可能性があります。誤射であっても責任を逃れることはできず、免許の取り消し処分を受けることも珍しくありません。
「見間違えた」という言い訳は通用しない厳しい世界です。狩猟者はハンドブックや図鑑で狩猟鳥獣の特徴を繰り返し学習し続ける義務があると言えるでしょう。
狩猟鳥獣を捕獲できる期間(狩猟期間)とルール
狩猟は1年を通していつでも行えるわけではないことをご存知でしょうか。野生動物の繁殖期を守るために定められた、狩猟期間のルールについて解説します。
一般的な狩猟期間(11月15日〜2月15日)と例外
野生動物の乱獲を防ぎ、生態系のバランスを保つため、狩猟ができる期間は法律で明確に定められています。一般的な狩猟期間は、毎年「11月15日から翌年の2月15日まで」の3ヶ月間となります。
この期間は多くの動物の繁殖活動が終わり、冬に向けて栄養を蓄える時期であるため狩猟に適しています。ただし、農作物の被害が深刻な地域では、知事の権限で期間が延長される例外も存在します。
たとえばイノシシやニホンジカに関しては、多くの都道府県で狩猟期間が長く設定されています。狩猟に出かける前には、必ず各自治体の最新情報を確認するようにしてください。
北海道と本州での期間の違い
一般的な狩猟期間は11月からですが、北海道においては独自のスケジュールが設定されています。北海道の狩猟期間は、原則として「10月1日から翌年の1月31日まで」となっています。
この理由は、北海道は本州よりも寒さが厳しく冬の訪れが早いためです。11月中旬にはすでに深い雪に覆われてしまう地域が多く、安全な狩猟が困難になることから期間が前倒しされています。
対象となる鳥獣によっても細かい期間のずれがあるため、道外から遠征猟に行く場合はとくに注意が必要です。環境省や北海道の公式ウェブサイトで、最新のカレンダーをチェックしておきましょう。
捕獲頭数の制限(定数)について
狩猟鳥獣であれば何頭でも無制限に獲ってよいというわけではありません。特定の動物については、1日あたりに捕獲できる上限数(定数)が決められています。
たとえば鳥類の場合、キジやヤマドリは「1日につき合計2羽まで」、カモ類は「1日につき合計5羽まで」といった制限が設けられています。これは人気の高い狩猟鳥が過剰に捕獲され、生息数が減少するのを防ぐためです。
獣類に関しても、一部の地域や種類によって独自の定数制限が設けられていることがあります。狩猟者はこれらのルールを必ず守り、必要以上の殺生を慎む倫理観を持つことが求められます。
初心者におすすめの狩猟鳥獣・ジビエとして人気の種類

これから狩猟を始めるなら、どの動物をターゲットにするのが良いか迷うかもしれません。最後に、初心者におすすめの獲物や、美味しいジビエとして人気の高い鳥獣をご紹介します。
ジビエとして美味しく、人気が高い鳥獣
狩猟の大きな醍醐味の一つは、自ら獲った野生鳥獣の肉(ジビエ)を味わうことです。ジビエとしてとくに人気が高いのは、イノシシとニホンジカ、北海道ならエゾシカでしょう。
イノシシの肉は「牡丹肉」とも呼ばれ、脂の甘みと濃厚な旨味が特徴で鍋料理に最適です。ニホンジカの肉は「紅葉肉」と呼ばれ、鉄分が豊富に含まれておりステーキとして絶品となります。
鳥類ではマガモやカルガモが高級食材として知られており、ネギと一緒に煮込む鴨鍋は冬の風物詩です。
狩猟初心者がターゲットにしやすい鳥獣
初心者がいきなり大型獣であるイノシシやクマを狙うのは、危険が伴うためおすすめできません。まずは、比較的安全に経験を積むことができる小型の鳥類からスタートするのが良いでしょう。
とくにカモ類は水辺に集まる習性があり、居場所を見つけやすいため初心者向けのターゲットとなります。また、キジバトやヒヨドリは里山の近くに生息しており、空気銃でも十分に仕留めることが可能です。
狩猟の基本は、動物の痕跡を探る技術と正確な射撃の腕前を磨くことです。安全な鳥類猟でフィールドの感覚を養いながら、少しずつ大物猟へとステップアップしていくのが理想的です。
まとめ
日本において狩猟の対象となる野生動物は、鳥獣保護管理法に基づき合計46種に限定されています。これら以外の動物を捕獲することは法律で厳重に禁止されており、違反すれば重い罰則が科せられます。
狩猟を行う際は、対象となる動物の姿や特徴を正確に把握し、非狩猟鳥獣を誤射しないための徹底した確認が不可欠です。また、狩猟期間や捕獲定数といったルールを遵守し、生態系の保護に努める義務があります。
これから狩猟免許の取得を目指す方は、対象動物の知識をしっかりと身につけた上で、安全第一の狩猟を心がけてください。ルールとマナーを守り、自然の恵みに感謝しながら素晴らしい狩猟ライフを楽しみましょう。
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