空気銃(エアライフル)によくある不調の原因とプロへ依頼するべき判断基準

空気銃(エアライフル)によくある不調の原因とプロへ依頼するべき判断基準

数年愛用してきたPCPエアライフルで、「銃にエアが入らない」「弾が発射されない」といった問題が起きることはありませんか。それらの問題は経年劣化によるパッキンの摩耗や、バレル内部の汚れが原因の可能性があります。

しかし、エアライフルの修理は危険が伴うため、基本的にプロに委ねるのが確実です。焦って分解し取り返しのつかない故障やけがをしないように、まずはこの記事で正しい対処法をご確認ください。

この記事では、空気銃(エアライフル)の修理が必要なケースの見極め方と、修理に出す前のチェックポイント、そして費用相場について解説します。

空気銃(エアライフル)で修理が必要なケース

空気銃(エアライフル)で修理が必要なケース

まずは、お手持ちの銃が本当に「修理」が必要な状態なのか、あるいは消耗品の交換や調整で直るものなのかを判断することが重要です。

エア漏れや機関部の動作不良が見られる場合は、無理に動かさず修理を検討すべきです。

なぜなら、PCPエアライフルが高圧空気を扱う精密機器であり、小さな不具合が重大な事故につながる恐れがあるからです。例えば、パッキンのゴムリング劣化によるエア漏れは、放置すると充填時に破裂するリスクや、パワー不足による半矢の原因となります。

具体的には、以下のような症状が出ていないか確認してください。

  • エア漏れ音: 「シュー」という音が充填口や銃身から聞こえる。
  • 圧力計の低下: 一晩置いておくだけで、残圧ゲージが著しく下がっている。
  • コッキング不良: レバーを引いても重すぎる、または掛かりが悪い。
  • 命中精度の極端な低下: 急に弾がバラつくようになった。

これらの症状は、内部パーツが破損しているかOリングの寿命かもしれません。特に購入から3〜5年経過している場合、修理の時期が来ている可能性があります。自己判断で使い続けず、まずは状態を正しく把握することが解決への第一歩です。

空気銃(エアライフル)を修理に出す前のチェックポイント

空気銃(エアライフル)を修理に出す前のチェックポイント

すぐに修理に出す前に、いくつか確認していただきたいポイントがあります。これらはご自身で解決できることも多いからです。

弾詰まりの確認方法

弾が出ない場合、まずは弾詰まりを確認してください。

バレル内に弾が残っていないか、クリーニングロッド等を使って確認しましょう。

変形したペレットの使用や、マガジンの装填ミスによる弾詰まりは頻繁に起こるトラブルだからです。もし弾が詰まっている場合、無理に次の弾を装填して発射しようとすると、バレル内で弾を二重装填してしまい、深刻な破損を招きます。

具体的な確認・対処手順は以下の通りです。

  1. 必ずマガジンを抜き、残圧を抜くなど安全確保を行う。
  2. 銃口側より、内径より細い棒をゆっくり入れ、マガジン取付部まで棒が貫通するかどうか確認する。
  3. 貫通しない(=詰まっている)場合は、真鍮製などの柔らかい素材のロッドで、銃口から優しく押し戻してみる。

もし軽く押しても動かない場合は、無理をせずプロに任せてください。バレル内部を傷つけると、銃身交換のような高額な修理になってしまいます。

エア漏れがあればプロに相談する

残圧計の数値が早期に下がっている場合はエア漏れの可能性があります。しかし、エア漏れの場合は自分で修理するのに危険が伴うため、無理に触らずにプロへ修理を依頼しましょう。

エア漏れの多くは充填アダプターやレギュレーター内部のゴムリングの劣化が原因として考えられますが、ゴムリングを含めた補修部品は一般的に流通していないので、銃砲店に修理を相談するのが賢明です。

自分で修理をしようとして、エア漏れ箇所に何かを塗ったり、純正品ではないゴムリングでエア漏れに対処したつもりになったりするのは絶対におやめください。

エアの圧力は部品全体に均一に分散するのが理想だからです。もし部分的なエア漏れ箇所を自分で直したとしても、高い圧力が他の一部箇所に集中して負荷が高くなることで、結果的にまた故障の原因になってしまうことがあります。

空気銃(エアライフル)修理の費用相場

修理を依頼する場合、気になるのが費用です。エア漏れの場合は部分修理も可能ですが、修理後に他の箇所も経年劣化で壊れるケースがあるため、基本的にオーバーホールをおすすめします。

参考までに、ここでは故障が少ないスプリング式以外のタイプで、オーバーホールする場合の修理相場をお伝えします。

・プリチャージ式:3~5万円

・ポンプ式:1~2万円

全体的なオーバーホールなら1年の整備保障が付く場合がありますが、部分補修の場合は保障の対象外ということもあります。何度も部分修理を依頼するくらいなら、オーバーホールを検討しましょう。

また、修理費用が高額になりがちな理由は、エアライフルのパーツの多くが輸入品であり、為替の影響を受けること、そして高圧空気を扱うための専門的な技術料が含まれるためです。メーカー純正パーツの取り寄せが必要な場合、海外からの発送待ちとなり、数週間〜数ヶ月かかることも珍しくありません。

依頼方法は以下の手順が一般的です。

  1. 購入店に連絡: 基本は購入した銃砲店へ相談します。
  2. 他店購入の場合: 引っ越し等で遠方になった場合は、近くの銃砲店が対応可能か電話で確認しましょう。
  3. 発送: 銃砲店へ送る際は、必ずガンケースに入れ、さらに段ボールで梱包し、「精密機器・取扱注意」として発送します。運送会社によっては銃の配送を断る場合があるため、事前に確認が必要です。

すぐに使いたい場合でも、部品在庫がない限り即日修理は難しいのが現状です。余裕を持ったスケジュールで動くことが重要です。

自分で修理できるパーツと注意点

機械いじりが好きな人であれば自分で直したいという気持ちになるかもしれませんが、エアライフルの修理はプロに依頼するべきかどうかの基準があります。

バレルのクリーニング手順

ご自身でおこなえるメンテナンスの一つが、バレルのクリーニングです。

どうしても銃身内の汚れが気になる場合、フェルト弾を使ってバレル内を清掃してください。

具体的な手順:

  1. フェルト弾: 最も手軽で、数発撃つだけで汚れを除去できます。フェルトを撃って仕上げます。

エアライフルの銃身は掃除メンテナンスは不要、と言われていますが、どうしても気になる場合はフェルト弾を使っての作業も可能です。ただ、その際は油脂類は何も使わず作業するのをお勧めいたします。

分解してはいけないエリア

一方で、絶対に手を出してはいけないのが、トリガーメカニズムと、高圧タンク・レギュレーターです。

これには二つの理由があります。

  1. 安全上のリスク: PCPの高圧タンクは200〜300気圧ものエネルギーが詰まっています。知識なく分解すると、パーツが弾け飛び、失明や指の欠損など大怪我につながる危険性があります。
  2. 法的なリスク: 日本の銃刀法では、銃が安全に使用できない状態にしてしまったり構造を著しく変更する改造を厳しく禁じています。特にハンマースプリングの調整やレギュレーターの改造は、意図せず発砲してしまうリスクがあり、時によって自身や他人を傷つけてしまい、検挙される可能性があります。

タンクやレギュレーターの分解はブラックボックスと考え、プロに任せましょう。

よくある故障原因を防ぐメンテナンスの重要性

故障してからの修理は、費用も時間もかかるため、日頃のメンテナンスで故障を防ぐことが大切です。特に猟期が終わった後の「保管方法」と「定期的なオイルアップ」が、銃の寿命を大きく左右します。

エアライフルは金属部の錆びのほか、長期間使用しない間にパッキンのOリングが硬化し、いざ使おうとした時にエア漏れが発生する場合があります。

具体的に以下の習慣を身につけましょう。

  • 完全な脱圧を避ける: 保管時もタンク内のエアを完全に抜かず、ある程度の圧力を残しておくことで、ゴミの侵入やパッキンの変形を防げます。
  • 金属部の拭き上げ: 使用後はシリコンオイルを含ませた布で指紋や水分を拭き取ります。
  • 湿気対策: ガンロッカー内には乾燥剤を入れ、定期的に交換しましょう。

オフシーズンの管理こそがハンターの腕の見せ所です。

まとめ

ここまで、ご自身でできるエアライフルのメンテナンスについて解説しましたが、不安が残る場合はプロに相談するのが確実です。

エアライフルは、高圧空気を使用する精密機器でもあります。すぐに使いたい場合でも、無理な修理をしてしまうのは禁物。

「自分でできるバレル清掃などのメンテナンス」と「プロに任せるべき機関部や高圧タンクの修理」の線引きを明確にすることが、愛銃を長く使い続けるための秘訣です。

無理な自己分解は、銃の破損だけでなく、ご自身が大怪我をする事故や、意図せず違法改造となってしまう法的なトラブルを招くリスクもあります。また、分解して元に戻せなくなったり、破損させてしまったりしてから持ち込むと、修理費がかさんでしまいまいかねません。

もし、少しでも違和感を感じたり、対処に迷ったりした場合は、迷わずお近くの銃砲店へご相談ください。

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