
「日本で銃を持つことは可能なのか?」と疑問をお持ちの方へ。日本でも正当な理由と手続きを経れば、銃を合法的に所持することは可能です。しかし、世界でもトップクラスに厳しい銃刀法が存在するため、誰でも簡単に手に入れられるわけではありません。
この記事では、これから狩猟や射撃競技を始めたいと考えている方に向けて、日本で所持できる「散弾銃」「空気銃」「ライフル銃」の違いや、所持するための厳格な条件、そして実際に許可証を手にするまでの具体的なロードマップを解説します。プロの視点で、法律に基づいた正確な情報を分かりやすくお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
日本で所持できる銃の3大カテゴリー
日本で一般市民が所持許可を受けられる銃は、大きく分けて「散弾銃」「空気銃」「ライフル銃」の3種類に限られています。それぞれの特徴と用途について解説します。
散弾銃(ショットガン)

画像引用:新銃 モスバーグ M940JM-Pro 12‐24”交換チョーク式
日本で最も一般的であり、狩猟からクレー射撃まで幅広く利用できるのが「散弾銃」です。
散弾銃は、多数の小さな粒からなる散弾を一度に発射する仕組みを持っており、動く標的を捉えやすいという特性があります。そのため、初心者が最初に所持する銃として推奨されることが多く、日本の銃所持者の大半がこの散弾銃からスタートします。
用途は主に「鳥猟(カモやキジなど)」「四つ足猟(イノシシやシカなど)」「クレー射撃」の3つです。特にイノシシなどの大型獣を狙う場合は、「スラッグ弾」と呼ばれる一粒弾を使用することで対応可能です。
構造としては、上下二連式や自動装填式が主流で、これから狩猟を始める方に最適です。汎用性が高く、初心者からベテランまで愛用者が多いため、最初の1丁として最も選ばれている種類です。
ハーフライフル

法的には2024.3からの改正銃刀法で「ライフル銃」のカテゴリーに変更分類されました。銃身の根本部分にのみライフリング(溝)が刻まれているのが特徴です。(年代や製品によっては「先残し」と呼ばれる銃身先端部にライフリングがあるものも存在します)名前の通り銃身全体の1/2以下の部位にライフリングが存在し、それ以外は平滑です。このライフリングにより、「サボットスラグ弾」と呼ばれる専用の弾丸に回転を与えて発射することができ、通常の散弾銃とは比較にならないほどの命中精度と安定した飛距離を発揮します。
一般的な散弾銃でスラッグ弾を撃つ場合の有効射程は約50m前後ですが、ハーフライフルであれば100m〜150m先の獲物を狙うことも可能です。ハンターにとっては、ライフル所持許可が下りるまでの10年間を支える有力な選択肢となります。
※ハーフライフルは2024年(令和6年)の銃刀法改正により、原則として「散弾銃か空気銃を継続して10年以上所持している実績」が必要になりました。(特例を除く)
空気銃(エアライフル)

画像引用:エアアームス S410初期型 5.5㎜
火薬を使わず、空気の圧力で弾を飛ばす「空気銃」は、手軽さと精度の高さで近年人気が急上昇しています。
火薬を使用しないため、発射音が非常に小さく、火薬銃に比べて所持許可のハードルがわずかに低いというメリットがあります。また、弾代が非常に安価であるため、ランニングコストを抑えて練習や実猟を行うことができます。
かつてはスプリング式やポンプ式が主流でしたが、現在は「プレチャージ式(PCP)」と呼ばれる、あらかじめ圧縮空気を銃に付いているタンク(シリンダ)に充填するタイプが主流です。PCPは低振動で連射が可能であり、50m先のコインを撃ち抜けるほどの高い命中精度を誇ります。
主にカモなどの鳥猟に適しています。最近は7.62㎜の大口径のものも存在し、大口径のものは大型鳥類の狩猟・有害駆除にも有効です。静音性と精密射撃を楽しみたい方、または近隣への騒音配慮が必要な猟場での使用を考えている方に最適な選択肢です。
ライフル銃

画像引用:レミントンM700 カスタムライフル 6.5PRC
「ライフル銃」は、圧倒的な威力と射程距離を誇りますが、日本で所持するためには最も厳しい条件をクリアする必要があります。
ライフル銃は、弾丸を回転させて飛ばす「ライフリング」という構造により、数百メートル先の獲物を倒す威力を持っています。その殺傷能力の高さから、銃刀法により「散弾銃を継続して10年以上所持している実績」がなければ、原則として所持許可が下りません。
主な用途は、北海道でのヒグマ・エゾシカ猟や、本州での大型のシカ・イノシシ猟です。遠距離から急所を狙撃する必要があるため、高度な射撃技術と経験が求められます。
ハンターにとっては「いつかは持ちたい憧れの銃」ですが、まずは散弾銃で10年間の実績を積むことが、所持への最短ルートとなります。
日本で所持できる銃の条件と誰でも買えるわけではない理由

銃の所持は許可制です。公安委員会が定める厳格な欠格事由に該当しない人のみが、特定の目的に限り所持を許されます。
「狩猟」「有害駆除」「標的射撃」の3用途以外はNG
日本では、「護身用」や「観賞用」として実銃を所持することは法律で固く禁じられています。
銃刀法第4条により、銃の所持は原則禁止されており、例外として認められるのは社会的に正当な理由がある場合に限られます。その正当な理由とは、法律で定められた以下の3つのみです。
- 狩猟:狩猟免許を取得し、法令に基づき野生鳥獣を捕獲する場合。
- 有害鳥獣駆除:農作物被害などを防ぐため、自治体等の許可を得て駆除を行う場合。
- 標的射撃:オリンピック種目や国体などのクレー射撃、ライフル射撃競技を行う場合。
申請時には「何のために使うのか」を証明する書類の提出が必須であり、許可された用途以外で使用すると、厳しく処罰されます。
身辺調査と医師の診断
所持許可申請のプロセスでは、申請者の人間性や精神状態をチェックするための「身辺調査」と「医師の診断書」が必須となります。
銃による事故や犯罪を未然に防ぐため、警察は申請者が「銃を持たせても安全な人物か」を慎重に見極める必要があるからです。これをクリアできなければ、どれだけ射撃技術があっても許可は下りません。
身辺調査では、同居の家族はもちろん、近隣住民や職場の同僚に対しても聞き込みが行われることがあります。「普段の素行に問題はないか」「金銭トラブルやDV(家庭内暴力)の噂はないか」「過度な飲酒癖はないか」などが調査対象です。
医師の診断書に関しては、統合失調症やてんかん、薬物中毒などに該当しないことが証明されなければなりません。社会的な信用と心身の健康がなければ銃は持てません。日頃からの生活態度も審査の一部であると認識しておきましょう。
年齢制限と特例
銃を所持できる年齢は、原則として「20歳以上」と定められていますが、競技目的の場合には特例が存在します。
民法上の成人年齢や責任能力を考慮し、基本ラインは20歳とされています。しかし、オリンピック選手の発掘などスポーツとしての射撃競技者の育成という観点から、例外措置が設けられています。
原則は20歳以上ですが、日本体育協会(日本スポーツ協会)の推薦を受けた場合に限り、以下の特例が適用されます。
- 空気銃:14歳以上から所持が可能。
- 散弾銃(及び火薬を使用するライフル):18歳以上から所持が可能。
一般的に狩猟を目的とする場合は20歳を待つ必要がありますが、学生時代から射撃競技を志す若者には、早期から所持できる道が開かれています。
日本で所持できる銃の「維持費用」と「保管ルール」
銃を持つということは、購入費だけでなく、継続的な維持費と厳格な管理責任を負うことを意味します。
初期費用や維持費用はいくらか
銃の所持には、初期費用として少なくとも15万〜30万円程度、維持費として年間数万円〜のコストがかかります。
銃本体の購入費に加え、許可申請の手数料、講習受講料、射撃場の利用料、弾代、さらに狩猟を行う場合は狩猟税や保険料が必要になるためです。
- 初期費用:
- 講習・申請手数料:約6〜7万円
- 教習射撃費用(散弾銃):約3〜5万円
- ガンロッカー・装弾ロッカー代:約3〜5万円
- 銃本体:中古で5万円〜、新銃で30万円〜(上は数百万まで)
参考情報:警視庁:猟銃等講習会および手数料一覧
- 維持費用:
- 狩猟税・登録費:約2〜3万円(地域・免許による)
- 猟友会会費:約1〜2万円
- 弾代・射撃場代:実費(クレー射撃の場合1ラウンド数千円程度)
決して安い趣味ではありませんが、中古銃を賢く選ぶなどで初期費用を抑えることは可能です。予算計画もしっかり立てておきましょう。
※昨今の物価高により、弾代や銃の価格は上昇傾向にあります。
自宅保管のルール
銃と弾は、自宅に設置した専用のロッカーで別々に保管し、他人が絶対に触れられないように管理する義務があります。
盗難や紛失、子供のいたずらによる事故を防ぐため、銃刀法では保管方法について非常に細かい規定が設けられています。
銃は「ガンロッカー」、弾は「装弾ロッカー」という、スチール製の堅牢な保管庫に入れる必要があります。これらは単に置くだけでなく、建物の柱や壁・床にビスで固定し、容易に持ち出せないようにしなければなりません。
また、鍵の管理は所有者本人のみが行い、たとえ家族であっても鍵の場所を教えてはいけません。警察による定期的な立ち入り検査では、保管状況が厳しくチェックされ、「鍵を家族に預けた」「ロッカーを固定していなかった」といった不備が見つかれば許可取り消しの対象となりますので、徹底した管理体制が求められます。
日本で猟銃を所持するまでの5ステップ

銃を所持するまでの道のりは長く、平均して3〜4ヶ月程度かかります。ここでは、大まかな流れを5つのステップで解説します。
①猟銃等講習会(初心者講習)の受講
まずは住所地を管轄する警察署の生活安全課へ行き、「猟銃等講習会」の受講申し込みを行います。講習会の最後には筆記試験(考査)があります。法律に関する細かい問題が出るため、市販のテキスト等でしっかり勉強する必要があります。
②教習資格認定と射撃教習
筆記試験に合格したら、「教習資格認定申請」を行います。ここで身辺調査が行われ、問題がなければ「射撃教習」を受ける許可が出ます。指定された射撃場で、実際に教官の指導のもと散弾銃を撃ち、操作方法と安全管理を学びます。
空気銃のみを所持希望する場合は「教習資格認定申請」自体が不要で、講習会合格後に直接「所持許可申請」へ進むことができます。
③銃砲店での最初の一丁選び
射撃教習に合格したら、いよいよ自分の銃を選びます。 銃選びは、使用目的や、体格へのフィット感が非常に重要です。カタログスペックだけで選んでしまうと、後悔することになります。
当店では、これから狩猟や標的射撃を始める方の目的や予算に合わせて、プロの視点から最適な一丁をご提案します。「譲渡承諾書」の発行が必要になりますので、申請前にぜひ一度ご来店・ご相談ください。
④所持許可申請
購入する銃が決まったら、警察署へ「銃砲所持許可申請」を行います。譲渡承諾書、医師の診断書、身分証明書、経歴書、同居親族書など、多くの書類を提出します。ここでも再び審査が行われ、最終的な許可の判断が下されます。
⑤許可証交付・銃の受け取り
申請から約1ヶ月ほどで許可が下ります。警察署で「所持許可証」を受け取り、それを持って銃砲店へ行き、ようやく銃を受け取ることができます。しかし、これで終わりではありません。受け取ってから14日以内に再び警察署へ銃を持参し、「確認」を受けることで、すべての手続きが完了します。
まとめ
日本で銃を所持することは、高いハードルがある一方で、法を守り正しい手順を踏めば誰にでも開かれている道です。 散弾銃、空気銃、そして10年後のライフル銃と、それぞれの銃には深い魅力と、自然と向き合う喜びがあります。
警察署への申請手続きや試験勉強は大変ですが、その先には日常では味わえない素晴らしい体験が待っています。まずは最初の第一歩として、お近くの銃砲店や警察署へ問い合わせてみることから始めてみてはいかがでしょうか。安全で楽しいガンライフのスタートを応援しています。
狩猟のギモン、YouTubeでお答えします
シューティングサプライでは、YouTubeチャンネルも運用しています。
「鹿を仕留める時のコツはある?」
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上記のような、実際のお客様から寄せられた質問に対し、動画でお答えしています。他のチャンネルには中々ない、現場のギモンも解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。






























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